敷島ファームが担うSDGsⅠ ~サステナブルな農業・循環型農業・飼料自給・バイオマスエネルギーとして期待の「ソルガム」~
サステナブル 投稿日:2022年11月25日敷島ファームでは栃木県那須町と北海道白老町にある試験圃場において、自社産牛糞堆肥を利用した「ソルガム」の栽培試験を実施しています。
ソルガムはソルゴー、モロコシ、タカキビ、コーリャンなど様々な呼ばれ方で栽培されるイネ科の一年草です。原産地はアフリカで、エジプトでは紀元前3世紀ころには栽培されていたといわれるほど、古くから食用・飼料用として栽培されてきました。日本には室町時代に中国を経由し伝来したとされ、食用や採糖用に栽培されてきました。
穀実を食用や家畜飼料に利用するグレインソルガム、糖含有が多いソルゴー、箒などに利用されるブルームコーン、茎葉を家畜飼料とするグラスソルガムなどにわけられ、利用目的に応じて栽培されてきました。
アメリカを中心に機械収穫や倒伏防止に草丈を1.5m程度に品種改良された品種などもありますが、一般的な品種は2~5m程度まで育ちます。限られた土地で収量をあげる点において、草丈5mに達するソルガムはとても効率的な作物といえます。
また、ソルガムには硝酸態窒素が蓄積しにくいという性質があります。硝酸態窒素は肥料や土壌に含まれる成分ですが、肥料が多すぎると牧草に蓄積する場合があります。硝酸態窒素が蓄積された牧草を食べた牛は、ふらつきや呼吸困難、場合によっては死亡するといった中毒症状引き起こします。その点、硝酸態窒素が蓄積しにくいソルガムは安全性が高く安心して給与ができる飼料作物といえます。
日々排出される牛糞を熟成させた堆肥を利用してソルガムを栽培し、収穫したソルガムを給餌することにより牛を育て上げる循環型農業の普及へとつながります。未だ先行き不透明な飼料高騰状況にある中で、循環型農業によるソルガム栽培は飼料の国産化・自給化に極めて有効と考えています。
2022年に敷島ファームの試験圃場で収穫したソルガムは草丈6mに達しました。収量・品質ともに素晴らしく、確かな手ごたえを感じています。
上の画像は敷島ファーム那須牧場敷地内のソルガム試験圃場の生育状況のタイムラプスになります。ぐんぐんと成長していく様子がわかります。収穫したソルガムは飼料・敷料としての利用を中心に検証しています。嗜好性や消化吸収率、生育や枝肉への影響など様々な角度から検証し、最適な品種を選抜していきます。
また、ソルガムは大手エネルギー企業が次世代バイオマスエネルギーとして栽培試験に着手するなど注目されています。
化石燃料は、燃焼により太古より地中で固定化されていた温室効果ガス(GHG)を大気中に排出します。”温室効果”の名が示す通りGHGの増加は地球温暖化につながることから、GHG抑制・削減が世界規模での課題となっています。
化石燃料にかわるGHG抑制・削減エネルギー資源として太陽光やバイオマスなどの地球環境への負担が少ない再生可能エネルギーが注目されています。
植物は光合成により大気中のCo2を吸収して成長します。そのため、植物由来のバイオマスエネルギーも燃焼によりCo2が発生しますが、成長時に大気中のCo2を固定していたものを放出=プラマイゼロという考え方ができます。この仕組みをカーボンニュートラルとよびます。
化石燃料からカーボンニュートラルなバイオマスエネルギーに転換することにより、GHGの抑制・削減が期待されています。
敷島ファームは、循環型農業・飼料自給・安心安全性向上・GHG削減・土地の有効活用などサステナブルな農業やSDGsにとって、様々な面から期待される「ソルガム」や「ジャイアントミスカンサス」「エリアンサス」の可能性に注目し、その利活用に意欲的に挑戦していきます。
※「ジャイアントミスカンサス」「エリアンサス」についての取り組みは当社活動報告『ゼロカーボンビーフへの道』を参照。